恩人とのお別れ

またやってしまいました。

駅を６つも通り過ぎたところでやっと反対方向に乗ってることに気がつくというお粗末。

板橋区役所前から三田線で日比谷に帰るつもりが何故か高島平・・・。

これじゃ家人のお迎えに間に合わないかもと慌てて反対ホームに渡り電車に乗り込みましたが・・・。
もはや方向音痴というより救いようもない粗忽ものです。

何度となく来た場所なのに何処かで私を帰らせたくないお方があるのかもしれません。

以前に大変お世話になった方がお亡くなりになりその方のお宅にお邪魔してお嬢様と尽きないお話をしての帰り道でございました。
もうこの駅に降り立つこともないかと思うとしみじみと寂しさが募り・・・。

思えば東京に出てきてからの沢山の方々とのご縁を結んでくださった大切な方。
東京の母とも慕った方でした。

高円寺、護国寺とその方がお引越しなさるたびに親しくお邪魔して随分と可愛がっていただきました。
そして板橋区役所前にお引越しなさった時にはある事情で袂を分かつ関係となり・・・。
そして１０年が過ぎ、私の見台開きの会をきっかけに再び交流が始まった時の喜びが昨日のことの様に思い出されます。

それからは年に二回ほどお邪魔して楽しくお話をお聞きしたものです。
昨年の芝鳳会にもお元気においでくださいました。

お嬢様によると病の床に臥せることもなく見事な最期だったとのこと。
苦しむこともなかったでしょうとのお医者様の言葉が何よりの救いでした。

沢山の思い出が次々蘇ります。
雪解け後の再会の折に
「あなたは私の宝よ。」
とおっしゃっていただいた言葉が私の終生の宝物となりました。


そしてまた電車は板橋区役所前を通り過ぎました。


　　　　　　　　　　　ありがとうございました。